カリキュラム

Curriculum

ロールモデル発見、ゴールセッティング、スキルアップ、
ネットワーキング、留学前トレーニングなどを目的とした、
数時間の交流イベント、2日間のワークショップ、休暇期間中の集中特訓、
中~長期間をかけて履修するプログラムなど、
様々なプログラムを用意しています。

 

各人材育成目標に対する学習機会

1.ゴール設定

本学には、皆さんのように、国際的キャリア志向の方が多く入学してきます。皆さん難関の受験戦争を勝ち抜いてきた方々ですので、知識も豊富ですし、それ以上に、自分を律することのできる強い意志と行動力を兼ね備えた方達ばかりです。皆さんは、これから医学・歯学について学んでいくわけですが、将来医学・歯学を専門としながら国際的な活躍をするとは、具体的にはどういうことなのでしょうか?どのようなハードルが待ち受けているのでしょうか?そして、大学での学習および卒後研修という長い期間に、どのようなスキル・資質を磨いていく必要があるのでしょうか?それらに対する答えを得て、今後の自身の取り組みのゴール設定を行うための効果的な機会を、入学直後に用意しました。

  • Global Communication Workshop
    毎年春に、新入生を対象として、国際保健問題事例を用いた英語模擬交渉ワークショップ、Global Communication Workshopを開催しているです。各交渉テーブルを、協力くださる外国人大学院留学生も含めた数名が囲み、それぞれ異なる役割を担い、英語で交渉にあたります。ここでの経験を通して、将来グローバルに活躍する際に求められる資質を認識し、将来を見据えたゴール設定を行っていただくのが最大の目的です。本ワークショップは自由参加ですが、本学が提供する海外留学およびHSLP応募の際には本ワークショップ参加歴が必須要件であり、毎年約150名、新入生の実に半数以上が参加しています。

2.全医療人のボトムアップのための取り組み

グローバル化が医療に与える影響とは何でしょうか?そして、これからの医療人に求められるものは何でしょうか?情報技術の革新および人の移動の増加により、国際標準の医療の提供が常に求められるようになりました。そして、世界的流行病や災害時に際しての国際協調の需要も、グローバル化を反映してますます高まっています。国際標準の医療の提供のためには、医療人自身が世界共通言語である英語で発信される最新の医学・医療情報に日頃からアクセスし、その質を判断し、それを踏まえてその地域の医療事情や患者さんの状態に合わせたベストな医療を考えていかなければなりません。また、国際協調の場でも、英語運用力および専門分野用語の英語表現に習熟しておくことが必須です。従って、本学ではまず、全ての医療人における英語運用力の底上げのために、必須科目において特色ある取り組みを行っています。

スキルアップ

本学では、教養教育期間(第1学年)に加え、専門教育期間においても、必修語学(英語)科目を設置し、英語運用力アップを図っています。これら専門教育期間の必修語学科目においては、英語の語学力アップだけでなく、医療/健康領域や、関連専門領域の語彙およびトピックへの理解を深めるとともに、コミュニケーションスキル・思考力・グローバルな視野の獲得などスキルアップも到達目標に含めた教育を行っています。例えば、医学科および歯学科の第2?4学年を対象とした科目「Global Communication for Healthcare Professionals」では、他の多くの医療系大学が「英語で医療を提供する」という目標を設定しているのと異なり、本科目は「英語で医療・医学問題に関する議論を行える」ことを目標に設定しています。そのため、語学力だけでなく、批判的思考力、論理的思考力、プレゼンテーションスキルの向上、そして「世界」という視点の獲得を教育目的とし、様々な視点からの考察を必要とする世界の医療・健康問題を毎回の授業トピックに選び、関連する英語記事や論文、動画を通しての事前学習の上に、授業では英語で議論・ディベートをするという形態を取ります。また、英語を母語とする教員や外国人大学院留学生に参加いただき、学生10名に対し指導者を少なくとも1名配置しています。

3.リーダー育成

医療を創りだす生命科学研究、国際保健・医療政策、そして医療産業の分野における現状は、世界における日本のプレゼンスがどんどん失われているのです。例えば生命科学研究分野では国際競争力が低下しており、論文数を研究活動のアウトプットとしてをみた場合、日本は米中英独に次いで第5位まで落ち込んでおり、国際共著率も英仏独米に次ぎ第5位に甘んじています。また、国際保健/医療政策分野では、日本は国連拠出金が米国に次いで第2位であるにもかかわらず、世界保健機関(WHO)における専門職スタッフ数はとても少ない状態が続いています。これは、志願者が少ないからではなく、日本からの応募者が選考に耐えられないことに大きく起因しています。さらに医療産業分野では、現在日本は医薬品・医療機器分野でも輸入超過に陥っており、また近年アジア各国では医療観光産業が発展していますが、日本にはそれらの国を上回る高い医療技術・サービスがありながら、大きく出遅れています。このような、医療の革新・医療政策・医療産業という分野での日本のプレゼンスの低下は、世界の共通言語である英語の運用力が低いことだけではなく、「世界」という広い視野のもとで地球規模の保健医療課題解決に対する志、それらの解決のために様々な文化的背景の相手と建設的に議論・協同するために必要な、高い教養、思考力、コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキル、リーダーシップスキル、そして行動力が欠如していることに起因していると考えます。日本が将来、医学/医療の分野で世界を牽引し、世界の健康レベル向上に貢献する・・・その中心的役割を果たす、常に「世界」という広い視点で考え行動し、複雑な世界規模の保健医療問題の解決に果敢に挑む人材が、いま、求められています。そして本学には、そのようなリーダーになることを目指す優秀で熱意に満ちた皆さんが多く入学してきます。そんな皆さんに、秘めた可能性を最大限に発揮していただけるよう、様々な取り組みを用意しています。

キャリア形成支援

医学/医療の分野で世界を牽引するリーダー・フロントランナーになる道のりはとても長いです。まず大学の学士課程を修了し、医療専門職資格獲得のために必要な研修を行い、そして様々な形での実務経験を通して自身の専門性を高めていかなければなりません。そしてそんな中で、常に長期的なキャリア目標を意識し、そのためのスキル・資質向上のために日々研鑽に励む必要があります。それは、容易なことではありません。それを可能にするのは、魅力的なロールモデルであり、目標を同じにする仲間達とのコミュニティやネットワークであると考えます。そこで、世界を舞台に活躍しているリーダー達や、そのような活躍を目指して研鑽中の未来のリーダー達、そしてを目標を同じにする皆さんの仲間達とが交流し、ロールモデル発見・コミュニティ形成・ネットワーク構築を行う、様々な機会を用意しています。

  • “Find-Your-Role-Model” Sessions
    アカデミア、生命科学分野、医療政策分野、医療産業分野などの様々なフィールドで、世界を舞台に活躍されているリーダーの方々をお招きし、未来のリーダーを目指している本学在学生/教職員との交流機会を創出する、”Find-Your-Role-Model” Sessionを毎月開催しています。セッションでは、ゲストの方によるご略歴とご活躍の様子のご紹介の後は、ホスト(主として本学有志学生)による司会のもと、ゲストと参加される皆さんとの間での対話形式で進められます。キャリア形成の様々なポイントでの決断やその背景、ロールモデルの存在や自身が受けたアドバイス、得られた教訓、リーダーとして遭遇/克服したチャレンジなど、様々な視点からの質問にもとづき、座談会形式で自由な意見交換が行われます。刺激を受け、実例からリーダーシップを学び、よきロールモデルを得て、今後のキャリア形成に活かしていただくことを目的としています。
  • Discussion Café
    本学および国内外の提携校などから、人種、文化的背景、学んでいる専門分野、将来目指すフィールドを異とする様々な学生が一同に介し、複雑な国際保健問題の解決に向けて英語で徹底的に議論するとともに、人種/文化/分野を超えた交流を通して将来の様々な分野のリーダー達とネットワークを築く・・・そんな機会を提供するのがDiscussion Caféです。医療系大学である本学の、特に学士課程では、日本の専門職国家試験を受け、国民に医療を提供する医療人を養成するというミッションのもと、基本的に日本語で教育が行われることを大きな理由に、外国からの留学生数も少なく、学習環境における人種/文化的多様性を創出しがたい状況にあります。また、医療系以外の視点を養うことは容易ではありません。そんなハードルを克服し、人種/文化的背景だけでなく、専門分野的にも多様性に富んだ環境が創り出される、貴重な機会です。

スキルアップ

医学/医療の分野で世界を牽引するリーダー・フロントランナーに必要とされる様々な要素のうち、英語運用力や思考力は、効果的で効率的な学習が極めて有効です。そこで、必修語学(英語)科目に加えて、選択科目および自由参加の短期プログラムやワークショップなどの形で、それら資質の獲得を支援する機会を用意しています。これらの機会に参加し、その期間中にレベルアップをはかるとともに、その後の自己学習・自己研鑽のための基盤を築き、日々の努力で着実に資質を獲得されるよう、支援します。

  • TOEFL集中特訓コース
    日本人学生が苦手とするspeakingを中心に4つの英語運用力(writing, listening, reading, speaking skills)の向上とTOEFLスコアアップを目的とした、短期集中特訓コース「TOEFL集中特訓コース」を毎年春/夏の休暇中に開講しています。教員1人に対して4~5人の少人数グループ学習環境で、1日4時間で5日間を1コースとして集中して英語運用力のレベルアップをはかります。学士/修士/博士全課程学生を対象とした、英語運用力向上/TOEFLスコアアップを目的とした短期特訓コースです。英語を母語とする外国人教員/講師が、学生それぞれのレベルに合わせて、目標として指導にあたります。
  • Bootcamps
    初等・中等教育で重視されていないためもあり、日本人が特に苦手とする、論理的思考力、批判的思考力、創造的思考力、コミュニケーションスキル、そしてプレゼンテーションスキルなどの「ソフト・スキル」は、知識や技術と同じか、またはそれら以上に、将来世界を舞台にリーターとして活躍する人材には必要かもしれません。それらスキルの獲得と洗練を、効果的・効率的に行うための機会を、民間人材開発機関と共同し創り出しています。1日8時間で2日間のワークショップという形を取ります。これまで、「批判的思考力Bootcamp」「デザイン思考Bootcamp」「MELT(Mindset, EQ, Leadership, Team Skills)Workshop」などを行ってきました。

海外留学

海外留学から皆さんは、様々なものを得ることができます。国際的な視野・視点、現在および将来のグローバルリーダーとのネットワーク、本学や我が国にいるだけでは得られない貴重な学習機会などはそのほんの一部であり、すべてを狭いスペースに言葉で表現することは不可能です。そしてそのような海外留学の意義は、グローバル化が進むこれからの時代、ますます大きくなることでしょう。一方、医療系の学士課程カリキュラムはそのほとんどが必修科目で埋められており、長期間の海外留学は1年単位の休学をしない限り極めて難しいという現状があります。そこで本学では、医療系学士課程カリキュラムにおいても実現可能な海外留学形態を模索し、研究実習および臨床実習という留学形態を考案し、各学科/専攻においてそれを可能とするカリキュラム改革を行ってきました。例えば、医学科および歯学科では、いずれも第4学年において研究実習科目を設置し、海外の研究機関での研究活動に対しても単位の認定を行っています。また、医学部医学科の臨床実習では、4週間単位で行うローテーションのいくつかを海外で履修可能としています。一般的な人文社会系の海外留学に比べ、研究または臨床実習留学は、よりきめ細かな指導を受けられ、将来のキャリア構築にとって効果も大きいというメリットもあります。このような機会をできる限り多くの学生が利用できるよう、海外協定校の増数を図り、また本学の海外研究教育拠点も最大限活用しています。そしてそれらとともに、皆さんが留学の機会を最大限有効に活かせるよう、十分な留学前準備教育を提供しています。ここではそれらを紹介します。

  • ASSERT Course
    研究留学が予定されている方を対象として、研究実習留学を実りあるものとするために、他国の同学年学生に匹敵するアカデミックスキル野の獲得を目的とした、完全英語履修の留学前準備教育プログラム「ASSERT(Academic Skills for Successful Exchange Research sTudents)Course」を開講しています。2日間に渡る批判的思考力修練のためのワークショップに引き続き、実践的な課題・問題基盤型学習を主とした、毎週1日夕方90分の授業合計7回程度を通して、論理的思考力、批判的思考力、コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキルを洗練し、グローバルな視点を養成します。
  • FOCUS Course
    臨床留学が予定されている医学科学生を対象として、世界トップ大学の医学生と切磋琢磨しながら充実した有意義な臨床実習を行えるよう、臨床スキル・患者管理スキル・コミュニケーションスキルを徹底的に磨くことを目標とした、完全英語履修の臨床留学前長期特訓プログラム「FOCUS(Fit for Overseas Clerkship opportUnitieS)Course」を開講しています。毎週1日夕方120分の学習セッションに、留学前の7カ月間の長期に渡り参加することで、世界トップ大学医学生に匹敵するスキルを獲得します。明確な到達目標設定と、ルーブリックを用いたテーラーメイドな個別支援、参加者自身による定期的振り返りと教員からのフィードバックを通して、参加者自身が主体的にスキルアップを図ります。
  • BRIDgE Course
    海外での歯科研修に派遣が予定されている学生を対象として、研修を実りあるものとするべく、必要となる英語力(歯科英語)やコミュニケーションスキル、マインドセットの修得を支援する留学前準備教育プログラム「BRIDgE(Be Ready for International Dental Externships)Course」を開講しています。海外の大学における歯科医学に関する講義の受講、研究実習や病院見学への参加、教員や学生との討論には、基本的な歯科領域の専門用語を英語で理解しておくことが必要です。BRIDgE Courseでは、実践的な学習を通して、研修時に必要となる歯科専門用語を英語で学習し、現地で実際に応用できるよう支援します。

リーダー養成選抜プログラム

常に「世界」という広い視点で考え行動し、生命科学研究・国際保健/医療政策・医療産業分野のリーダー・フロントランナーとして、複雑な世界規模の保健医療問題の解決に果敢に挑み、変革を生み出し、世界の健康レベル向上に貢献する・・・このような未来の人材の育成が、我が国の喫緊の課題です。しかし、非常に密なカリキュラムの医療系学士課程において、例えどんなに高い志を持っていたとしても、皆さん独自の取り組みにはやはり限界があります。そこで、このようなビジョンを共有し、その達成に向けての情熱に満ちた、高い志を持った皆さんのために、「視野拡大」「資質獲得」「コミュニティ形成」「ネットワーク構築」のための効果的・効率的な機会を提供し、ビジョンの達成を最大限支援する、複数年に渡る完全英語履修のリーダー養成選抜プログラム「HSLP(Health Sciences Leadership Program)」を2013年10月より開講しています。

  • Health Sciences Leadership Program
    HSLPでの学習は、週1日夕方3時間で、第1学年後期から学士課程修了までに渡ります。規定された「修了までに獲得すべき資質」である、基礎/社会/臨床医歯学知識に加え、関連する社会科学系知識(政治/経済/哲学/社会学など)とその応用力、批判的思考力、探求/分析力、口頭/文書コミュニケーション能力、創造的思考力、リーダーシップスキルなどを、学習レベルに応じて段階的に獲得していくスパイラルカリキュラムとなっており、特に下級学年では、将来直面するであろう問題を想定したケースを用いてグループで主体的に問題解決にあたる「ケースメソッド」を用います。学習者が判断や対処を求められる現実または模擬事例(ケース)を用い、グループ内およびクラス全体で議論しながら、意思決定や問題解決の実践力を磨きます。HSLP修了のためには海外留学経験(研究実習、臨床実習、公衆衛生大学院など)が必須であり、上級学年では下級学年学生のグループ学習にチューターとして参加し、海外留学を経て得た広い視野と深い考察にもとづく助言などを通して、ロールモデルとして、下級学年学生を刺激し、議論を深めます。またHSLPでは、同級生や先輩/後輩、卒業生や在野のリーダー達、HSLP教員からなる、同じ目標に向かって頑張っている有志達によるコミュニティのメンバーとして、お互いに刺激し、支え合い、目標達成に向けて共に成長していきます。このコミュニティこそが、HSLPの、そしてそこで学ぶ皆さんの、大きな推進力であり、そして最大の財産なのです。
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